15巻12号

2016年12月25日発行

オンラインISSN 1347-4448,印刷版ISSN 1348-5504
発行 特定非営利活動法人グローバルビジネスリサーチセンター(GBRC)

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< 査読つき研究ノート(オープンアクセス) >

台湾IC設計業における競争戦略と主要企業の盛衰

岸本千佳司

pp. 569-646

本研究は、台湾のIC (半導体集積回路) 産業の中でも特に設計業 (ファブレス) に焦点をあて、その発展動向と基本的な競争戦略、および主要企業の盛衰とそれを左右する要因について分析する。まず、台湾ICファブレスの競争戦略の様々な構成要素、すなわち、垂直分業・ファブレス化と二番手戦略、およびそこから派生する (あるいは、それとセットになっている) 台湾企業の強み・特徴 (標準品志向、製品開発プロセスにおける顧客との密接な協調、トータル・ソリューション、選択と集中など) について踏み込んだ分析を行う。こうした競争戦略の各構成要素がどのように関わりどのような競争優位に繋がっているかを出来るだけ体系的に分かり易く示すために、楠木 (2010)『ストーリーとしての競争戦略』が提唱する競争戦略ストーリーを描き出す手法を採用する。また、台湾の特徴を浮き上がらせるために、近年凋落していると言われる日本半導体企業の戦略 (不全) ストーリーを提示し対比させる。分析の結果、台湾ファブレスの戦略ストーリーは、相対的に楠木の言う「筋の良いストーリー」のイメージに近く、他方、日本半導体企業のそれは、むしろ戦略不全に陥るストーリー展開の可能性が多く見られることを示す。次に、同じ台湾ファブレスでも企業ごとに戦略や成長性が異なっていることに鑑みて、台湾の主要ファブレス10社の事例分析を行う。上述の台湾ファブレス主要企業一般を念頭に置いた戦略ストーリーでは捉えきれない企業ごとの違いにも注目し、その盛衰を左右する要因を分析する。その結果、その時代ごとの主流である応用製品市場を上手く捉えられたかどうか、コア技術を技術シナジーを活かしながら複数の応用分野に巧く展開できたかどうか、単なる「me too」ではなく製品技術・マーケティングで独自の優位性を持っていたかどうか、などが成功要因として指摘される。
キーワード:台湾IC産業、ファブレス、競争戦略、戦略ストーリー、二番手戦略、トータル・ソリューション、選択と集中

岸本千佳司 (2016)「台湾IC設計業における競争戦略と主要企業の盛衰」『赤門マネジメント・レビュー』 15(12), 569-646. doi: 10.14955/amr.151201

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< 経営学輪講 >

組織アイデンティティを用いた研究方法論―経営学輪講Dutton and Dukerich (1991)

山城慶晃

pp. 647-654

本稿では、組織アイデンティティ論の著名論文であるDutton and Dukerich (1991) をレビューし、同論文で用いられた組織アイデンティティを説明変数とした研究方法論について整理する。具体的な研究手順として、(1) 組織事象の時系列整理、(2) コンテンツアナリシスによる組織アイデンティティの特定、(3) 組織アイデンティティと「組織の解釈」、「感情」、「行動」の紐つけ、という三つの分析によって、組織アイデンティティを説明変数として扱うことが示される。
キーワード:組織アイデンティティ、研究方法論、コンテンツアナリシス

山城慶晃 (2016)「組織アイデンティティを用いた研究方法論―経営学輪講Dutton and Dukerich (1991)」『赤門マネジメント・レビュー』 15(12), 647-654. doi: 10.14955/amr.151202

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< 研究会報告 >

学際的な知見の融合・共創による人工知能技術開発

高橋恒一

pp. 655-658

人工知能の技術開発に関しては、その普及スピードや影響の大きさから鑑みて、早い段階から学際的な共創によって将来社会の種々の変化を予測し、社会の変革に備える必要性が生じている。本稿では、このような活動を目指して始められたAI社会論研究会の活動や取り組みを紹介する。
キーワード:人工知能、全脳アーキテクチャ、価値システム、HELPS

高橋恒一 (2016)「学際的な知見の融合・共創による人工知能技術開発」『赤門マネジメント・レビュー』 15(12), 655-658. doi: 10.14955/amr.151203

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汎用人工知能と第二の大分岐

井上智洋

pp. 659-662

近い将来、人工知能 (AI) が普及し、社会や人間に大きな影響を及ぼすとの見方が出てきている。現在普及し始めている「特化型人工知能」から今後現れる「汎用人工知能」への移行にともなって、第1次産業革命に匹敵するような経済成長の大分岐が形成され、雇用や働き方に大きな変化が生じるだろう。本稿では、この汎用人工知能が社会に与える影響について、主に経済的な側面から論じていく。
キーワード:人工知能、全脳アーキテクチャ、第4次産業革命、雇用

井上智洋 (2016)「汎用人工知能と第二の大分岐」『赤門マネジメント・レビュー』 15(12), 659-662. doi: 10.14955/amr.151204

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