東京大学の世界的な研究成果を広く一般に公開し、新たな知の世界を紹介すると
いう目的で、第4回 東京大学公開学術講演会「設計の思想−組織と空間を考え
る−」が開催され、藤本隆宏教授(GBRC常務理事)が講演されます。どなたでも参
加いただけます。
日 程 : 2002年12月13日(金)
開 場 : 17:00
開 演 : 18:00〜20:00
会 場 : 東京大学 大講堂 (安田講堂)
定 員 : 800名 (先着順)
参加申込 : 当日会場にて受付
参加費 : 無料
●「日本経済の今後と設計思想−アーキテクチャ論で見る企業の実力」
藤本 隆宏 経済学研究科 教授
●「循環型社会」
安藤 忠雄 工学系研究科 教授
このうち藤本先生のご講演内容の概要は次のように紹介されています。
「今後の日本経済を支える柱の一つとして、製造業は依然として重要である。2
1世紀のわが国製造業は、どこへ向かうべきか。漠然とした雰囲気的悲観論は解
答を生まない。日本企業の得意・不得意を見極め、「強みを活かし弱点は謙虚に
他に学ぶ」という戦略論の基本に帰る必要がある。しかし、既存の産業分類は、
そうした将来に対する洞察する上で、あまり役立たないようだ。筆者は、21世
紀には新しい産業観が必要だと考える。それは、企業が生産する製品の「設計情
報」の側面に焦点を当てた産業論であり、戦略論である。一般に、システムの設
計思想のことを「アーキテクチャ」という。企業の組織能力と、製品や工程の
アーキテクチャの間には、「相性」があるようであり、ある製品とアーキテク
チャ的に相性が良い企業は競争力を発揮する傾向が有る。つまり、製品や工程の
アーキテクチャを分析することにより、日本企業は何が得意であるのかを予想し
やすくなるのではないか。これが、「アーキテクチャの産業論・戦略論」の根本
的な発想である。具体的に言うなら、戦後日本企業の得意分野は「擦り合わせ」
型アーキテクチャの製品であり、この基本は今も変わらない。したがって、強み
を活かすという戦略の基本に従うなら、日本の産業・企業は、当面は「あらゆる
加工段階において擦り合わせ型製品で勝負する」という基本戦略から出発すべき
と考える。一方、アメリカ企業は伝統的にモジュラー型アーキテクチャの製品に
強く、このことがデジタル技術革新の中で、90年代アメリカ経済の活況にもつ
ながった。話題の中国製造業も、アーキテクチャ的には米国産業と意外に親和的
である。しかし日本企業は、彼等と同じ設計思想の土俵で正面からぶつかるべき
ではないだろう。こうした、アーキテクチャに関するある種「地政学」的な分析
は、個別企業の戦略構築、あるいはメリハリの効いた産業政策を構想して行く上
で、重要な洞察を提供するだろう。このように、設計思想(アーキテクチャ)と
いう視点から産業論や戦略論を再解釈することによって、21世紀のわが国産業
の行くべき道が、今よりはもう少しはっきり見えてくるかも知れない。」
詳しくは、下記の東京大学のホーム・ページまで
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