『赤門マネジメント・レビュー』
Vol.7, No.5 発行!!
『赤門マネジメント・レビュー』 Vol.7, No.5が発行されました。
http://www.gbrc.jp/journal/amr/index.html
目次と要約は下記の通りです。「研究会報告」「ものづくりアジア紀行」は無料
コンテンツです。
< 査読つき研究ノート >
富田純一・大神正道
「旭硝子におけるアジア生産戦略―タイ工場の事例を中心に」pp.235-262
要約:建築用板ガラスの製法は公知であるにも関わらず、なぜ世界市場は寡占と
なっているのか。また、種々の板ガラス製品においていずれも旭硝子が高い市場
シェアを有しているのはなぜか。板ガラスの工場は消費地立地が基本であるの
で、もし同社に独自技術や操業ノウハウがあるとすれば、それらをどのように海
外工場に移転し、製品を立ち上げているのか。これらの問題を明らかにするため
に、本稿では、藤本隆宏 (2001, 2004) の競争力の分析枠組に従い、製品ごとの
競争力分析を行うとともに、建築用板ガラスを始めとする海外生産展開、とりわ
けアジアの主要生産拠点であるタイ工場のマネジメントの調査分析を行った。
キーワード:旭硝子、戦略的ものづくり、競争力、擦り合わせ、組織能力
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< コンピュータ産業研究会 >
立本博文
「半導体産業における共同研究開発の歴史」pp.263-274
要約:半導体における共同研究の歴史は日本の超LSI技術共同研究組合から始ま
り、成功を収めた。日本の成功に反応したアメリカでは、それまでの制度を変更
し、独禁法を緩和し共同研究開発を奨励した。共同研究開発の成果は標準規格化
されることが多く、標準化が企業戦略に取り入れられる素地となった。300 mm口
径ウェーハ対応装置での標準化プロセスを上手く利用できなかった日本の半導体
産業は、2000年以降著しく競争力を失う結果となった。アメリカ半導体産業にお
ける共同研究は2000年以降新しい局面を迎えることとなった。半導体産業の基盤
技術である微細化ルールの革新が止まる可能性が出てきたのである。これを解決
するために、産学連携も含めた共同研究開発プロジェクトがNNI(National
Nanotech Initiative)予算によって行われている。ニューヨーク州立大学Albany
校ナノテクセンターでの産学連携は注目に値する取組である。AlbanyではIBMを中
心としたエコシステムが形成されつつあり、このエコシステムを基盤として、同
社はコモンプラットフォームというプログラムによって新しいビジネスモデルを
構築しようとしている。Albanyにおける取組は、共同研究開発における最も進ん
だ形態となっている。
キーワード:半導体産業、共同研究開発、独禁法、標準化、IBMのコモンプラット
フォーム
小川紘一
「21世紀の人工ゲノムとしての半導体デバイス」pp.275-290
要約:1990年代の後半からマイコン/System LSIが製品設計に深く介在し、我が
国エレクトロニクス製品のアーキテクチャがモジュラー型に転換した。ここから
設計と製造の相互依存性が排除されてグローバル市場の競争ルールが一変し、
アーキテクチャのダイナミズムを人為的にコントロールするビジネス・モデルさ
え生まれるようになった。製品アーキテクチャの転換が垂直統合型という伝統的
な組織のあり方を変え、EMSに代表される組み立て産業をNIES/BRICS諸国に興隆
させ、巨大な雇用を生み出しながら経済を活性化させる。21世紀の半導体デバイ
スを象徴するマイコン/System LSIは、単に製品機能・性能・品質・コストを左右
するだけでなく、NIES/BRICS諸国と先進工業国との協業による持続的な経済成長
を支え、さらにはグローバル社会の構造変化さえも誘発する人工ゲノムとなった
のである。
キーワード:半導体、マイコン、System LSI、ファームウエア、人工ゲノム、製
品アーキテクチャ、ビジネス・モデル、インテル
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<ものづくりアジア紀行 第二十四回>
新宅純二郎・天野倫文・善本哲夫
「ポーランドへの投資競争と液晶クラスター(前編)」pp.291-302
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