今週のABAS新刊
Fujita,
H., & Ikuine, F. (2013).
Free and open source are not necessary conditions of
successful development.
新生ABASは、隔週刊で論文をリリースしていきます。
「ABASの日本語サイト」からダウンロード可能です。
http://www.gbrc.jp/journal/abasjp/
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Fujita, H., & Ikuine, F. (2013).
Free and open source are not necessary conditions of successful
development: The case of "Hidemaru Mail."
Annals of Business Administrative Science, 12, 151-166.
doi: 10.7880/abas.12.151 (forthcoming).
Download (Available online April 14, 2013)
無償のオープンソースであることは、ソフトウェア開発成功の必要条件ではな
い。ソフトウェア開発の成功指標の一つが「早めで頻繁なバージョンアップ」で
あるならば、ユーザがテスターやデバッガのように機能することが重要なので
あって、自らソースコードを修正する必要はないからである。実際、有償で非
オープンソースの日本のシェアウェア「秀丸メール」の開発では、一部のユーザ
がテスターやデバッガのように機能している。そして秀丸メールの場合、開発者
の早めで頻繁なバージョンアップというのは、実は、結果あるいはパフォーマン
ス指標なのではなく、ユーザの内発的動機づけを引き出し、テスターやデバッガ
として機能させるための手段だったこともわかった。事実、秀丸メールでは、開
発者がユーザのほぼすべての要望や報告に懇切丁寧に対応し、早く、頻繁にバー
ジョンアップすることで、ユーザをさらに要望や報告を提出するように動機づけ
ている。従来の議論は、ソースコードがオープンかどうかにこだわりすぎてい
て、ユーザをいかにテスターやデバッガのように機能するように動機づけるかと
いう組織論的な視点に欠けていた。ソースをオープンにすることでユーザを動機
づける可能性は確かにあるが、だからとって、オープンソースにすることが必要
条件なのではなく、できるだけ多くのユーザを開発に協力するように動機づける
ことが必要条件なのである。それができれば、無償か有償か、オープンか非オー
プンかには関係なく、ソフトウェア開発は成功する。
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とりあえず論文の内容を日本語で紹介しますが、著者本人による公式の要約では
ないので、ご注意ください。正確に内容をお知りになりたい方は、ぜひ英語の論
文をダウンロードして、読まれることをお勧めします。なお、お気づきではない
かもしれませんが、英語版のサイトもあります。
http://www.gbrc.jp/journal/abas/index.html
ABASに掲載された論文の最終バージョンは、DOIを付与して2ヶ月に1号のペース
でまとめて、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の電子ジャーナル・サイト
J-STAGEに登載され、Google Scholarにもデータが提供されます。
http://www.jstage.jst.go.jp/browse/abas/
またABAS掲載論文は、学術雑誌論文を中心とした学術情報を検索して利用でき
る世界的なオンライン・データベースEBSCO host (有料)にも逐次収録されて、
全文ダウンロード可能です。
特定非営利活動法人グローバルビジネスリサーチセンター(GBRC)
電話 03-5208-4272 Fax 03-5208-4273
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