GBRCニュース   2016.12.12

---

Annals of Business Administrative Science (ABAS)
 Volume 15, Number 6J-STAGEに登載されました
 
新生ABASの最新刊
Annals of Business Administrative Science, Volume 15, Number 6
が、1215日にJ-STAGEで刊行されましたので、お知らせいたします。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/abas/
 
今回、Volume 15, Number 6に掲載されたのは下記の論文です。
------------------------------------------------------------------------
Suh, Y. (2016). 
Mother factory vs. model factory: 
Comparative study of international knowledge transfer.
Annals of Business Administrative Science, 15(6), 251-263.
doi: 10.7880/abas.0160831a
Download (Available online December 9, 2016)
 
日本企業の生産システムは、その優れた生産性から企業特殊的優位があるといわ
れた。そして、トヨタ自動車に代表されるように、マザー工場制は日本的生産シ
ステムを海外に移転する主要な手法として使われてきた。しかし最近では、韓国
の現代自動車のように、明らかにマザー工場制とは違う方式で海外移転する企業
も現れた。そこで本稿では、それをモデル工場制と呼び、知識移転論を使った枠
組みでマザー工場制との比較を試みる。この枠組みでは、生産システムを本国が
持つ知識だとみなし、メンバー、ツール、マニュアルは直接移動する知識; スキ
ル、組織、レイアウトは、受信側で再現される知識であると分ける。この枠組み
で日本のトヨタ自動車と韓国の現代自動車の海外への生産システム移転の事例を
分析すると、マザー工場制は本国工場が中心になって知識移転を行っているのに
対し、モデル工場は本国本社が中心になって知識移転を行っていたことが明らか
になる。
------------------------------------------------------------------------
Min, S. (2016). 
Adverse user innovation: 
The case of a semiconductor equipment manufacturer.
Annals of Business Administrative Science, 15(6), 265-272.
doi: 10.7880/abas.0161109a
Download (Available online December 13, 2016)
 
かつてvon Hippel (1988)は、半導体製造装置などでは、ユーザーである半導体
メーカーがイノベーターの役割を果たしていたとして、ユーザー・イノベーショ
ンと呼んだ。しかし、彼の研究とほぼ同時期に、日本の半導体製造装置メーカー
ULVACは、本来ユーザーである半導体メーカー側が取り組むべき基礎研究であ
るコバルト・ニッケル・クローム(CoNiCr)の材料組成の基礎研究を自ら行い、そ
の研究成果を使った新たなHDD用製造装置を開発して、ユーザー側に提供してい
た。これはユーザー・イノベーションとは逆の「逆ユーザー・イノベーション」
とでも呼べるような現象であり、こうした事例は、他にもたくさん見つかる可能
性がある。
------------------------------------------------------------------------
Kosuge, R., & Takahashi, N. (2016). 
The survival of market orientation through artificial selection.
Annals of Business Administrative Science, 15(6), 273-284.
doi: 10.7880/abas.0161109b
Download (Available online December 13, 2016)
 
旧来の販売志向からプロセス重視の市場志向へと転換した日本の自動車ディーラ
ーでは、(1)市場志向プログラムがもっていたプロセス志向・チーム志向が、営
業員の自己概念や自己同一性を脅かすものとして受け取られ、大多数の営業員か
ら拒絶された。にもかかわらず、(2)5%相当の3店舗だけがチーム志向・プロセ
ス志向を受容したので、経営者はその3店舗の管理者を抜擢し、評価報奨制度に
「チーム報奨」を導入したことで、市場志向が組織内で他店舗にも普及していっ
た。ただし、この会社で起きたことは自然淘汰などではない。当初、これらの3
店舗の業績は悪く、最下位を争っている店まであり、自然淘汰されるはずの側だ
ったのである。しかし、経営者がこの3店舗を生き残らせ、さらにプロセス重視
の市場志向の定着を待って、それを横展開させた。つまり、人為淘汰による制度
的同型化が起きたのである。
------------------------------------------------------------------------
ABASは、J-STAGEの「早期公開」(Advance Publication)機能を使っております。
各コンテンツには、早期公開の段階で、すでにDOIが付与されていて、CrossRef
でダウンロードできます。たとえばDOI10.7880/abas.0150805a の論文は、
http://dx.doi.org/10.7880/abas.0150805a
と入力すると、論文がダウンロードできます。
 
上記の論文は、いずれも既に早期公開版を公開しておりますが、早期公開した論
文はこうして2ヶ月に1号のペースでまとめて、巻・号・ページ等を確定してか
J-STAGEで本公開されます。早期公開版は、今回の本公開版と同じDOIが付与
され、同一の論文として扱われ、Google Scholarにもデータが提供されます。
さらに、本公開版は、学術論文を中心とした学術情報を検索して利用できる世界
的なオンライン・データベースEBSCO host (有料)ProQuest (有料)にも逐次
収録されて、全文ダウンロードが可能となります。
 
ABASは、「引用されるジャーナル」を目指して鋭意努めてまいりますので、今後
とも是非ご投稿先としてABASをお考えいただければ幸甚です。 

---

特定非営利活動法人グローバルビジネスリサーチセンター(GBRC)

 電話 050-3825-0915

 E-mail info@gbrc.jp