GBRCニュース   2020.04.20

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Annals of Business Administrative Science (ABAS)
 Volume 19, Issue 2 J-STAGEに本公開されました
 

Annals of Business Administrative Science, Volume 19, Issue 2

が、415日にJ-STAGEで刊行されましたので、お知らせいたします。

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/abas/

今回、Volume 19, Issue 2に掲載されたのは下記の論文3本です。

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Nakano, K. (2020).

How the Japanese electrical industry reduced licensing costs after World War II.

Annals of Business Administrative Science, 19(2), 29-44.

https://doi.org/10.7880/abas.0191220a

(Available online March 10, 2020)

 

本稿は、第二次世界大戦後の日本の電機産業の製品開発を、ライセンスコストの

削減戦略の視点から捉え直す。日本の電機メーカーは、戦後直後は、海外からの

技術導入によって自社の技術を高めていった。しかし、製品をできるだけ安価に

する方策を模索する中で、ライセンス生産にはライセンスコストの限界があった。

そこで多くの日本の電機メーカーは、自社開発した特許を元にしたクロスライセ

ンスで相殺してライセンスコストを抑えるようになった。さらにライセンスコス

トを抑えるには、自前のライセンスで製品を造るしかなく、各電機メーカーは中

央研究所を設立し、1990年代初頭まで自前主義が幅を利かすが、実は、これは歴

史的には特異な行動だった。

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Takahashi, N. (2020).

Simulation and organizational studies in Japan.

Annals of Business Administrative Science, 19(2), 45-65.

https://doi.org/10.7880/abas.0200227a

(Available online April 4, 2020)

 

1990年代以降、日本でも組織のシミュレーション研究が行われるようになった。

本稿は研究者間の関係も重ね合わせて、日本における組織のシミュレーション研

究をレビューする。世界はシミュレーション結果をメタファーとして引用する潮

流だが、日本には対照的に、既存モデルを批判的に検討し、自らもシミュレーシ

ョンを行い、それをさらに調査データと突き合わせて検証するというユニークな

研究群が存在する。彼らが得た教訓は、(a) シミュレーション結果の動画は、研

究者やビジネスパーソンのイマジネーションを掻き立ててくれる。しかし、

(b) シミュレーションが示す現象やパラメータの値の現実性が調査データで裏付

けられなければ、シミュレーションから導き出されるインプリケーションは、た

だの妄想にすぎない。

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Inamizu, N. (2020).

Estimating communication by position information in office.

Annals of Business Administrative Science, 19(2), 67-80.

https://doi.org/10.7880/abas.0200317a

(Available online April 12, 2020)

 

本研究は、ある企業のオフィス及び従業員(308)を対象として取得された

(a)センシング技術を用いたオフィス内位置情報と (b)デイリーアンケート(毎日

回答する質問紙調査)のデータをもとに、位置情報からオフィス内でのコミュニ

ケーションのボリュームをある程度推定することが可能であることを示すもので

ある。近年、オフィス環境とコミュニケーションの関係に注目が集まっているが、

本研究の結果は、大規模サンプルに対して低コストでオフィス内のコミュニケー

ションを測定することに対して一つの示唆を与えるものである。

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ABASは、J-STAGEの「早期公開」(Advance Publication)機能を使っております。

各コンテンツには、早期公開の段階で、すでにDOIが付与されていて、CrossRef

でダウンロードできます。たとえばDOI10.7880/abas.0150805a の論文は、

https://doi.org/10.7880/abas.0150805a

と入力すると、論文がダウンロードできます。

 

上記の論文は、いずれも既に早期公開版を公開しておりますが、早期公開した論

文はこうして2ヶ月に1号のペースでまとめて、巻・号・ページ等を確定してか

J-STAGEで本公開されます。早期公開版は、今回の本公開版と同じDOIが付与

され、同一の論文として扱われ、Google Scholarにもデータが提供されます。

さらに、本公開版は、学術論文を中心とした学術情報を検索して利用できる世界

的なオンライン・データベースEBSCO host (有料)ProQuest (有料)にも逐次

収録されて、全文ダウンロードが可能となります。

 

ABASは、「引用されるジャーナル」を目指して鋭意努めてまいりますので、今後

とも是非ご投稿先としてABASをお考えいただければ幸甚です。

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