今週のABAS早期公開論文は次の2論文です
Fukuzawa, M. (2020).
Reconsideration of value stream mapping and cross-functional integration in the digitalization of operations.
Wada, T. (2020).
Two dilemmas and one trap with open innovation.
Annals of Business
Administrative Science (ABAS)は、独立行政法人科学技
術振興機構(JST)の電子ジャーナル・サイトJ-STAGEの早期公開機能を導入して
います。「ABASの日本語サイト」
http://www.gbrc.jp/journal/abasjp/
には、日本語の要約も掲載され、早期公開版のダウンロードも可能です。
早期公開は論文採択後できるだけ速やかに行われますので、早期公開版の公開は
不定期になります。ということで、今週は次の2論文が早期公開されました。
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Fukuzawa, M. (2020).
Reconsideration of value
stream mapping and cross-functional integration
in the digitalization of
operations.
Annals of Business
Administrative Science.
https://doi.org/10.7880/abas.0201012a
Download (Available online
November 11, 2020)
欧米のVSMやクロス・ファンクショナル・インテグレーションに関する既存研究に
おいては、バリューチェーン全体での流れに注目することで全体最適を目指して
いくというリーン生産やフローマネジメントの本質からの乖離が見られたり、モ
ノと情報の流れの実態にもとづいた実証研究が十分に行われてない。近年の日本
のものづくり企業におけるグローバル化しデジタル化の進んだサプライチェーン
やバリューチェーンにおけるモノと情報の流れの全体最適化を進めていくために
は、基本に立ち返り、モノと情報の流れ全体に注目して、「流れの実態」を把握
しつつ、それに作用する要因に関する実証的研究が行われることが必要である。
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Wada, T. (2020).
Two dilemmas and one trap with
open innovation.
Annals of Business
Administrative Science.
https://doi.org/10.7880/abas.0201013a
Download (Available online
November 11, 2020)
Chesbrough (2003) は、R&Dを単独企業によって行うクローズド・イノベーション
(CI)に対して、必要に応じて社外の技術知識を活用する、または自社技術を他
社に活用してもらうオープン・イノベーション(OI)の有効性を指摘した。しか
し、OIには、(1) 外部から獲得した知識がライバル企業も入手できる場合、競争
優位とならないアウトソーシング・ジレンマ、(2) 自社と同じ製品を製造・販売
するアセンブラに部品を販売すると自社の製品の強力なライバルとなるインテグ
レーターズ・ジレンマ、(3) 製品の大幅なイノベーションに製品全体の構造の見
直しが必要とされるときに、企業間で分業してオープン・モジュラー・アーキテ
クチャを選択し知識が分散していると対応できないモジュラリティ・トラップが
伴う。これらのジレンマ、トラップが存在するとき、OIは必ずしも効率的な選択
とはならない。
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とりあえず論文の内容を日本語で紹介しますが、著者本人による公式の要約では
ないので、ご注意ください。正確に内容をお知りになりたい方は、ぜひ英語の論
文をダウンロードして、読まれることをお勧めします。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/abas/advpub/0/advpub_0161125a/_article
J-STAGEの「早期公開」(Advance Publication)は、巻・号・ページ等の書誌情報
が未確定の論文を公開できる機能です。早期公開版も本公開版も同じDOIが付与
され、同一の論文として扱われ、Google Scholarにもデータが提供されます。
早期公開された論文は2ヶ月に1号のペースでまとめて、巻・号・ページ等を
確定してからJ-STAGEで本公開するとともに、学術論文を中心とした学術情報を
検索して利用できる世界的なオンライン・データベースEBSCO host (有料)、
ProQuest (有料)にも逐次収録されて、全文ダウンロードが可能となります。
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