GBRCニュース   2021.02.15

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今週のABAS早期公開論文は次の2論文です
Yoshida, T. (2021).
 How Has Workcation Evolved in Japan?
Tsukamoto, Y. (2021).
 Rethinking telecommuting with an i-deals perspective.

 

Annals of Business Administrative Science (ABAS)は、独立行政法人科学技

術振興機構(JST)の電子ジャーナル・サイトJ-STAGEの早期公開機能を導入して

います。「ABASの日本語サイト」

http://www.gbrc.jp/journal/abasjp/

には、日本語の要約も掲載され、早期公開版のダウンロードも可能です。

早期公開は論文採択後できるだけ速やかに行われますので、早期公開版の公開は

不定期になります。ということで、今週は次の2論文が早期公開されました。

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Yoshida, T. (2021).

How Has Workcation Evolved in Japan?

Annals of Business Administrative Science.

https://doi.org/10.7880/abas.0210112a

Download (Available online February 10, 2021)

 

労働と休暇を組み合わせて行うワーケーションは、ICTの浸透に伴って欧米で登

場した概念で、freelancer等に象徴される個人の自由な働き方とされるが、日本

においてはその元来の意味合いを離れ、一部のトレーニング・プログラムがワー

ケーションと称されるなど、特異な展開が見られる。こうした変化はどのように

して生じたのだろうか。本研究では3つの地域における調査を踏まえ、日本にお

いて特徴的なサテライトオフィス・ワーケーション、ラーニング・ワーケーショ

ン」の登場経緯やそれらを取り巻く各主体の狙いを整理した上で、(1)日本では

主に雇用労働者が想定されていること、(2)それ故、地方自治体の思惑(「交流

人口に繋げたい」)と企業の思惑(「仕事に係わる目的がないと社員を地方に送

り出し難い」)が大きな影響を与えていること、(3)その結果、ワーケーション

が「地域との深い関りの中で学びや内省、創造力の向上を図る」方向へ変化して

きたこと、を明らかにする。

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Tsukamoto, Y. (2021).

Rethinking telecommuting with an i-deals perspective.

Annals of Business Administrative Science.

https://doi.org/10.7880/abas.0210115a

Download (Available online February 11, 2021)

 

COVID-19の影響により、日本ではテレコミューティングが急速に普及した。従来

のテレコミューティング研究では、テレコミューティングはi-dealsの結果であ

り、location flexibility i-deals (LFi-deals)であるという前提で議論が行わ

れてきたが、COVID-19の流行下では、半強制的なテレコミューティングが出現し

た。そこで本研究では、(Group A)依然として「出社」、(Group B)半強制的に出

現したテレコミューティングと考えられる「テレコミューティング (初経験)」、

(Group C) LFi-dealsを結んだ結果のテレコミューティングと考えられる「テレ

コミューティング (経験あり)」の3群に分けて、degree of self-determination

(DSD)及び生産性との関係を調べた。分析の結果、同じテレコミューティングで

LFi-dealsを結んでいるGroup Cの方が半強制的なGroup Bよりも、DSDも生産性

も有意に高かった。ただし、Group BGroup Aよりは高くなっており、単にテレ

コミューティングを始めただけでも、LFi-dealsDSD、生産性が高まる可能性が

ある。

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とりあえず論文の内容を日本語で紹介しますが、著者本人による公式の要約では

ないので、ご注意ください。正確に内容をお知りになりたい方は、ぜひ英語の論

文をダウンロードして、読まれることをお勧めします。

 

J-STAGEの「早期公開」(Advance Publication)は、巻・号・ページ等の書誌情報

が未確定の論文を公開できる機能です。早期公開版も本公開版も同じDOIが付与

され、同一の論文として扱われ、Google Scholarにもデータが提供されます。

 

早期公開された論文は2ヶ月に1号のペースでまとめて、巻・号・ページ等を

確定してからJ-STAGEで本公開するとともに、学術論文を中心とした学術情報を

検索して利用できる世界的なオンライン・データベースEBSCO host (有料)

ProQuest (有料)にも逐次収録されて、全文ダウンロードが可能となります。

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