GBRCニュース   2021.12.20

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Annals of Business Administrative Science (ABAS)

 Volume 20, Issue 6 J-STAGEに本公開されました

 

Annals of Business Administrative Science, Volume 20, Issue 6

が、1215日にJ-STAGEで刊行されましたので、お知らせいたします。

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/abas/

今回、Volume 20, Issue 6に掲載されたのは下記の論文8本です。

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Wada, T. (2021).

Small development projects for developing overall understanding of  

product components.

Annals of Business Administrative Science, 20(6), 183-195.

https://doi.org/10.7880/abas.0210924a

(Available online October 28, 2021)

 

テレビゲームは、世界観、シナリオ、グラフィックス、音楽などの要素のインテ

グリティが求められる。テレビゲームの製品開発プロジェクトにおいて、各要素

の設計・調整を行う人材には、製品の構成要素の全体的な理解が必要となる。20

年以上前の日本のテレビゲーム産業では、新入社員が入社してすぐに製品の各要

素を設計・調整する場に参加することができ、製品の構成要素の全体的な理解を

身に着けることができた。しかし、近年の開発プロジェクトの大型化により、新

入社員に割り振られる作業は細分化・モジュール化され、製品の構成要素の全体

的な理解を身に着けることが困難になった。この問題に対し、日本のテレビゲー

ム開発会社のサイバーコネクトツーは、小規模の実験的なテレビゲーム開発プロ

ジェクトを立ち上げ、これを若手社員に担当させることで解決を図っている。

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Akiike, A., & Ichikohji, T. (2021).

What are the requirements for design thinking articles?

Annals of Business Administrative Science, 20(6), 197-209.

https://doi.org/10.7880/abas.0210930a

(Available online November 12, 2021)

 

本稿はデザイン思考が経営学でどのように研究されているかを検討した。主要な

経営学ジャーナルに掲載されている論文をレビューした結果、(a)デザイン思考

については複数のコア研究からなりたっており、様々な要素が含まれているもの

の、(b)直近の実証研究は、Brown (2009)及びMartin (2009)の議論を踏まえて、

実践やツールと合わせて議論し、ユーザ中心及び実験というテーマについて言及

している点は共通していた。

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Hamamatsu, S., & Fujita, M. (2021).

Adapting the effectuation model for nascent entrepreneurs:

The function of acceleration programs.

Annals of Business Administrative Science, 20(6), 211-222.

https://doi.org/10.7880/abas.0211021a

(Available online November 19, 2021)

 

Sarasvathy (2008)のエフェクチュエーション動学的モデルは熟達した起業家を

対象に理論構築された。では駆け出しの起業家にはどのようなモデルが当てはま

るのか。そこで本稿ではコオロギを生物資源として事業化した駆け出しの起業家

の事例研究を行なった。すると、起業に興味はあるものの、すぐに行動を起こす

ことができず、何をすべきか悩んでいる駆け出しの起業家は、複数のビジネス企

画コンテスト等のアクセラレーション・プログラムに次々と参加することで、エ

フェクチュエーション・プロセスを実行できていた。その際、アクセラレーショ

ン・プログラムには、(1)所与の手段からのゴール設定を支援し、(2)社会ネット

ワークを使わせることで相互作用を促進し、(3)信用を付与することでコミット

メントを得やすくする3つの機能があった。

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Hatta, M. (2021).

Cowboys and the eternal September: Transfiguration of hacker aesthetics.

Annals of Business Administrative Science, 20(6), 223-237.

https://doi.org/10.7880/abas.0210923a

(Available online November 19, 2021)

 

ハッカーのイメージは、1970年代に端を発し、1980年代から徐々に形成されて

きた。特に1990年代から2000年代初頭にかけては、GNU/Linuxなどのオープン・

ソースの台頭もあって、さまざまな文脈で活発に議論された。その後、時代の変

化もあって、優秀なプログラマーに求められる資質は大きく変わった。従来はコ

ードを書く能力が最も重視され、社会性は軽視されていたが、コンピュータがよ

り一般的になり、社会的影響力を増すにつれ、ハッカーは様々な方法で社会と折

り合いをつけなければならなくなり、多くのオープン・ソース・プロジェクトが

行動規範を導入した。

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Konno, Y., & Takai, A. (2021).

Modularization as disruptive innovation.

Annals of Business Administrative Science, 20(6), 239-251.

https://doi.org/10.7880/abas.0211104a

(Available online December 4, 2021)

 

1990年代以降、電機製品で顕著に見られたモジュラー化の動きは、通常は製品ア

ーキテクチャのイノベーションと捉えられる。しかし実は、技術と顧客/市場と

の関係性において、(1)技術レベルと製品価値がダウングレードし、その結果と

して、(2)従来までの正当性が通用しなくなる、といった破壊的イノベーション

としての特徴も有していた。それゆえに既存の有力日本企業は、決してイノベー

ションを怠っていたわけではないにもかかわらず、当初はオモチャに思えたモジ

ュラー化で生まれた新製品に市場を奪われていったと考えられる。

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Shimizu, T. (2021).

Infectious disease and labor management:

A retrospective look at Japanese society before WWII.

Annals of Business Administrative Science, 20(6), 253-267.

https://doi.org/10.7880/abas.0211021b

(Available online December 10, 2021)

 

20世紀初頭、スペイン風邪や結核が流行した頃の日本の繊維産業の労働者は、

劣悪な環境の中で長時間労働に従事しており、感染症に感染するリスクも高かっ

た。そんな中、先駆的な企業は、感染症に対する自発的な対策として、病院の設

置、病気時の無償の医療提供や扶助料の支払い、寄宿舎の改善を行い、さらに工

場の改善や教育プログラムの提供のような労働者福祉のための施策を導入した。

このような施策が他の企業にも波及し、結果として多くの企業の労働環境が改善

したことは、感染症対策が経済合理性にかなったものであったことを示している。

このことは現在のCOVID-19に対しても衛生環境改善や労働者福祉向上が経済合

理的であることを示唆している。

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Fukuzawa, M. (2021).

Transition of the concept of total optimization in Japanese companies.

Annals of Business Administrative Science, 20(6), 269-282.

https://doi.org/10.7880/abas.0211118a

(Available online December 10, 2021)

 

近年、全体最適を目指す技術開発やサプライチェーン・マネジメント, DX等の

取り組みが行われている。本稿は全体最適や部分最適の用語が、日本企業でどの

ような文脈で使われてきたのか、新聞記事の言及頻度と傾向に基づき分析した。

全体最適は1980年代後半から紙面に現れ始め、その解決策SCM, BPR, ICT等と

一緒に長年論じられてきた。実は、全体最適が注目され続けてきたことは、公式

組織が成立してないことを示唆している。横断的組織連携のようなコミュニケー

ション促進や情報技術の導入・活用への焦点化が進んだ一方で、そもそも何のた

めの最適化であるのかには十分に焦点が当てられておらず、依然として公式組織

の成立要件は十分に満たされていない。

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Sugawara, T. (2021).

Growth of university entrepreneurial ecosystems.

Annals of Business Administrative Science, 20(6), 283-296.

https://doi.org/10.7880/abas.0211116a

(Available online December 11, 2021)

 

本稿は東京大学本郷キャンパス周辺に集積している日本のベンチャー企業が形成

する起業エコシステム(entrepreneurial ecosystem)に関する研究である。大学

を中心として集積した234社のベンチャー企業について経年で分析したところ、

2004年から大学主導でインキュベータを中心に起業エコシステムが形成され始め、

2014年頃を境にインキュベータ外のベンチャー企業の新規集積が増え、大学のコ

ントロールを超えた起業家主導の起業エコシステムに成長していた。

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ABASは、J-STAGEの「早期公開」(Advance Publication)機能を使っております。

各コンテンツには、早期公開の段階で、すでにDOIが付与されていて、CrossRef

でダウンロードできます。たとえばDOI10.7880/abas.0150805a の論文は、

https://doi.org/10.7880/abas.0150805a

と入力すると、論文がダウンロードできます。

 

上記の論文は、いずれも既に早期公開版を公開しておりますが、早期公開した論

文はこうして2ヶ月に1号のペースでまとめて、巻・号・ページ等を確定してか

J-STAGEで本公開されます。早期公開版は、今回の本公開版と同じDOIが付与

され、同一の論文として扱われ、Google Scholarにもデータが提供されます。

さらに、本公開版は、学術論文を中心とした学術情報を検索して利用できる世界

的なオンライン・データベースEBSCOhost (有料)ProQuest (有料)DOAJ

(無料)にも逐次収録されて、全文ダウンロードが可能となります。

 

ABASは、「引用されるジャーナル」を目指して鋭意努めてまいりますので、今後

とも是非ご投稿先としてABASをお考えいただければ幸甚です。

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