『赤門マネジメント・レビュー』Vol.21,
No.1 発行!!
■AMRのツイッターアカウント http://twitter.com/akamonmr
『赤門マネジメント・レビュー』(AMR)は、第16巻からJ-STAGEに全面移行し、
偶数月25日発行のオープン・アクセスの隔月刊誌に生まれ変わりました。
昨年末からJ-STAGEも新画面インターフェースに切り替わっております。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/amr/-char/ja/
同時に、隔月刊化にともない、早期公開も始めました。
J-STAGEの「早期公開」(Advance Publication)は、巻・号・ページ等の書誌情報
が未確定の論文を公開できる機能です。早期公開版も本公開版も同じDOIが付与
され、同一の論文として扱われ、Google Scholarにもデータが提供されます。
早期公開された論文は2ヶ月に1号のペースでまとめて、巻・号・ページ等を
確定してからJ-STAGEで本公開されます。
ということで、2月25日に、
『赤門マネジメント・レビュー』(AMR) Vol.21, No.1が発行されました。
バックナンバー検索が便利な
http://www.gbrc.jp/journal/amr/index.html
も、まだ生きています。
目次は下記の通りです。もちろん、無料コンテンツです。
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〈経営学で考える〉
藤本 隆宏
「地球温暖化問題に対する自動車産業の『総力戦』について:
『電気自動車オンリー論』の誤謬」
2022 年 21 巻 1 号 pp. 1-36
https://doi.org/10.14955/amr.0220202a
本論では、地球温暖化問題対策の一環として、自動車走行による二酸化炭素
(CO2) 発生量削減の方策について考える。特に、近年注目されている電気自動
車(BEV) の普及 (保有台数シェアの増加) が、CO2発生量削減という目的に対し
てどの程度貢献できるか、またどんな限界があるかを、目的合理性の観点から、
単純化した仮定を置いたCO2発生量概算モデルを用いて予備的に検討する。まず、
所与の車種に関して、「年間CO2発生量=保有車両台数×1台当たり年間平均走
行距離 (km/台・年)×1 km当たり平均CO2発生量 (g・km)」という基本式を当て
はめることにより、日本国内の自動車 (保有約8,000万台) の走行から発生して
いるCO2発生量 (約1.8億トン) を近似的に試算する。次に、乗用車 (保有約
6,000万台) の走行からのCO2発生量 (約1億トン) を2030年までに20% (2,000
万トン) 以上削減するという目標に対して、1)BEV、2)ハイブリッド車、3)従来
型内燃機関乗用車がどのように貢献するかを同様に概算的に予測した。予測結
果は、2030年の3車種の構成や燃費改善率により変動するが、2020年代に限って
言えば、BEVの削減貢献量は500〜700万トン、ハイブリッド車の貢献は900〜
1,100万トン、内燃機関車の貢献は600〜700万トン、合計削減量は2,100万〜
2,400万トンで目標を達成し得るとの試算を得た。このことから、2020年代を含
む長期の地球温暖化対策において、BEVの貢献は確かに大きいが、BEVだけでは
削減目標に達しないことが明らかになった。したがって、国内外で近年盛んな
「BEVオンリー論」(BEVの普及のみを唯一の有効手段とみなし、その他の手段を
否定する論調) は目的合理性において誤りであり、すべての可能な削減手段を
総動員する「総力戦論」がより目的合理的だ、との結論を得る。次に、なぜこ
のような「BEVオンリー論の誤謬」が生じるかについて、錯覚・短絡という側面
(目的と手段の混同、生産増と保有増のタイムラグ、有効需要に基づかぬ生産目
標、BEVの商品力など)、および、各国産業政策における策略的な側面(例えば欧
州、米国、中国の自国自動車産業振興の思惑) について議論している。
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〈査読つき研究論文〉
菊地 宏樹
「技術の限界認識とその超克について: 東海道新幹線の発展を事例として」
2022 年 21 巻 1 号 pp. 37-72
https://doi.org/10.14955/amr.0210901a
本稿では、技術の限界に対する認識がいかにして更新されていったかを、東海道
新幹線を事例として考察した。技術の限界を考えるにあたり、分析のフレームワ
ークとしてSCOT から派生した技術フレームを使用している。また、技術の限界
を考えるにあたり、研究段階における技術の限界に対する認識である純粋技術屋
的限界と、実際に営業に投入する段階における技術の限界に対する認識である政
策技術屋的限界に分けて考察を行い、それぞれの技術の限界に対して、これを規
定する要因と更新する要因を明らかにした。
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